この記事では精液の量が多いか少ないかを確認する方法、少なくなる原因ついて解説します。
医学論文やクリニックからの引用をもとに、信頼性の高い情報をまとめました。
精液の量の平均は?
自分の精液の量が多いか少ないかを知るためには、まず平均値を知る必要があります。WHOや研究機関の論文をもとに、精液量の平均を確認します。
世界平均と日本平均
WHOが発表している世界平均の精液量は、3.0ml。
日本人を対象にした研究では、3.1mlと、日本人の平均のほうが少しだけ多いようです。
年齢別平均
年齢別の精液量の平均は、以下の通りです。10代は前半(10歳~14歳)が第二次性徴期の途中であるため、データが見つかりませんでした。
20代 | 3.3ml |
---|---|
30代 | 3.2ml |
40代 | 3.7ml |
50代 | 2.0ml |
40代が一番多いという意外な結果に。とはいえ50代になると急激に減少していますし、精子濃度や精子数、運動率といった数値は30歳頃をピークに減少するため、若い頃ほど自然妊娠しやすい状態の良い精子であると言えます。
自分の精液の量を知っていますか?
平均と比べて気になる自分の精液の量。普段コンドームやティッシュに出している時は多いのか少ないのか分からないですよね。調べ方をご紹介します。
精液量の調べ方
精液量を知るためには事前準備があります。禁欲、つまりオナ禁です。日本生殖医学会では、「2~7日の禁欲期間後」を推奨しています。
2-7日の禁欲期間(射精しない期間)の後に、用手法(マスターベーション)で全量を採取します。
引用元:一般社団法人日本生殖医学会
オナ禁期間としてはちょっと長いですが、精液を構成する前立腺液や精嚢液が貯まるのにこのくらいの期間が必要になります。
2日の禁欲の結果、「量が少なかった……もし7日禁欲していれば……」と後悔してももったいないので、自分の精液の最大量を知るためにも7日間の禁欲期間をおすすめします。
では禁欲期間後、どのように量れば良いのでしょうか?
医療機関
正確な量を知りたい場合は、医療機関での検査が一番です。
自費診療となるため保険が適用されず、予算は合計で13,000円~25,000円程度かかります。自費診療なので価格はクリニックが決められますが、「立地」「検査項目」「クリニック内に採精室があるか」などにより費用が変わるようです。
初診時検査費用 基本精子検査22,000円
※初診料、結果説明時の診察料含む
引用元:エス・セットクリニック
精液検査費用 初回9,900円(税込)、2回目以降5,500円(税込)
※このほかに、初診料3,300円(税込)または再診料1,650円(税込)がかかります
引用元:御苑アンジェリカクリニック
医療機関での検査のメリットは、正確な量を知ることができるほか、精子の運動量や奇形率など、詳細な項目まで分かることです。不妊の原因の約半数は男性と言われています。精子の量だけが不妊の原因ではないので、妊娠関連の悩みがある場合は医療機関での検査をおすすめします。
とはいえ、医療機関は高額になるため、手軽に計る方法もご紹介します。
コンドーム+スポイト
コンドームに射精し、スポイトで量る方法はあまりおすすめしません。カウパー液(射精前に出てくる透明のアレ)が含まれたり、もともとコンドームについていた潤滑油がなくなったりするため、射精した精液の量を正確に量ることができないためです。
ラップ+スポイト
比較的正確な精液の量を自宅であるもので簡単に量ろうとするなら、ラップがおすすめ。ラップに射精して、スポイトで吸い取って量ります。
コンドームに比べると射精前のカウパー液や潤滑油の影響はなくなりますが、ラップに付着する分、こちらも正確な量はわかりません。スポイトは百円ショップでも買えるので、とにかく安く調べられるのがメリットです。参考程度には良いかもしれません。
精液採取キット
TENGA社が精液採取キットを販売しています。価格は1,200円~1,500円程度と意外と安く、容器に付着するロスも少ないため正確な測定が可能です。アプリで精子の動きを確認することができるので、精液量以外も簡単にセルフチェックもできます。
精子が少ないデメリット
精子が少ないとどのようなデメリットがあるのでしょうか。
不妊
不妊となる原因は複数ありますが、精液の量が少ないことも不妊に繋がります。
自然妊娠に必要な精液の量
WHOが発表している自然妊娠するために必要な精液量は、1.5ml。意外と少ないのですが、これは精液量が少ない方から5%の値なので、この基準をクリアしたからといって決して多い量ではなく、むしろかなり少ない部類、必要最小限の量になります。
日本人を対象にした研究では、実際に自然妊娠できた男性の平均精液量は3.1mlであるため、精液量の減少は不妊につながることは間違いなさそうです。
参考:人工授精に必要な量
ちなみに人工授精の場合、無精子症(精液の中に精子がいない症状)であっても睾丸から直接採取すれば人工授精が可能な場合があります。そのため精液量が0でも妊娠は可能ですが、睾丸で精子が作られているかどうか切開・採取するまではわかりません。
快感が少ない
多くの人が実体験しているかと思いますが、一般的に精液量が多いほど射精の快感は増すと考えられています。
これは射精で筋肉(骨盤底筋周辺)が収縮する際、精液が押し出される快感を伴うためです。前立腺液や精嚢液が十分溜まっていない場合、精液量は多くなりません。オナ禁後の1回目がやたらと気持ち良いのはこれが理由です。
見た目やパートナーの満足感
事後、精液の量が多いと満足感を感じる女性は一定数いるようです。「精液 多い 嬉しい」と検索すると、質問サイトでは以下のようなコメントが見つかりました。
精液が少ない原因!なぜ?
加齢
先程ご紹介したように、精液の量は40代までは維持されますが、50代になると急激に減少し、2.0mlほどしか射精されなくなります。
喫煙
喫煙によっても精液量は減少します。
5865人の参加者を対象とした20の論文を解析した研究では、喫煙しない男性と比べて喫煙する男性の精液量は平均0.12ml、精子濃度は平均892万/ml、運動率は平均3.48%、正常形態率は平均1.37%低下する
引用元:Eur Urol. 2016 Oct;70(4):635-645.
量の減少は微々たるものですが、精子濃度の平均が7,300万匹/mlであるため、なんと12%以上も薄い精液になります。
禁煙は比較的始めやすく、良い精液を出すには欠かせないものです。
食生活
ファーストフードやインスタント食品、加工食品を中心に生活していたり、アルコールを多く摂取していると亜鉛が不足し、精液量が減少します。
亜鉛は男性の精子形成や前立腺の働き、精子の運動や活性化にも関係しており、「セックスミネラル」と呼ばれるほどです。(中略)亜鉛の含有量は、ファストフードやインスタント食品、加工食品に少ないうえ、亜鉛はアルコールを分解するときにも使われます。
引用元:ユニ・チャーム株式会社
運動不足はあまり関係ない?
運動不足によって精子数は減少するため、運動をすることで精液の質を高めることはできます。
運動なしグループの精子の総数は204.4 ×106個と、運動ありグループの265.8 ×106個に比べ、有意に少なくなっていました。
引用元:日経goodday 30+
しかし、精液の量自体にはあまり影響はありません。
精液検査のパラメータは12週目からいくつかは有意差が出始めますが、24週目になると精液量以外のすべての項目で有意に改善し、トレーニング終了後30日後迄維持されています。
引用元:京野アートクリニック高輪
運動によって精液量以外の項目が改善……ということは、精液量には変化がなかったと解釈できます。精液の量を増やしたければ、運動以外で改善するのが良さそうです。
まとめ
精液量の減少は単一の原因のみで完結するものではありません。
自分に当てはまる原因がないか確認し、生活習慣をこまめに改善することで解消していきましょう。